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「金芽米(きんめまい)」及び「金芽ロウカット玄米」で便通改善。特別養護老人ホームでの介入試験により実証

東洋ライス株式会社(銀座本社:東京都中央区、代表取締役:雜賀慶二)、東京農業大学(東京都世田谷区、学長:髙野克己)らの研究チームは、製造方法により玄米の栄養等を残した「金芽米(亜糊粉層残存無洗米)」及び「金芽ロウカット玄米(脱ロウ玄米)」の継続摂取によって、便通機能の改善に効果があることを明らかにしました。この研究成果は、1年間の比較試験における中間報告(摂取日数全365日のうち、71日経過)として、5月25日に行われた「日本食生活学会 第58回総会」で発表されました。

現在、日本の総人口に占める高齢者の割合は「28.1%(2018年)」と世界最高の「超高齢社会」を迎えています。日本政府によると、この割合は今後も上昇し、2025年には「30%」、2040年には「35.3%」まで高まるとされています。そのような中、高齢化による筋力や腸の活動低下、食物繊維や水分摂取量の減少といった複合要因による排便機能の低下は「便秘」を招き、健康への悪影響やQOL低下につながるとして問題となっています。特に、特別養護老人ホームなどに入所している高齢者においては「食事」「入浴」「排泄」の3大介護のうち、「排泄」については下剤など薬剤使用や「摘便」(※1)による入所者の身体及び精神的負担、職員の業務及び精神的負担、医療費の増大など、問題は山積みです。

一般的に「自然排便」を促す食物として、日本人の主食であるコメの中でも特に食物繊維が多く、精白米に比べ便通改善が期待できる玄米が挙げられますが、咀嚼、消化性の問題から高齢者による継続摂取は困難です。そこで、本研究では、精米技術により栄養と旨味を生成する「亜糊粉層」を残した「金芽米」、玄米表面のロウ層を均等に除去することで、玄米の栄養はほぼそのままに、食べやすく消化性にも優れる「金芽ロウカット玄米」を使用し、「排泄」における介護現場の現状を改善、また、施設内の日々の食生活の見直しによる自然排便の増加を目標に、継続摂取による便通機能の改善効果を検証しました。

(※1)肛門から指を入れ、便を摘出する医療行為である。直腸内に便がたまり、自然排便できないときに行う。

【方法】
本試験は、社会福祉法人善光会倫理委員会により承諾され、2018年10月から実施、2019年4月現在まで継続している。社会福祉法人善光会の高齢者施設に入所する高齢者男女80名(45~102歳、平均84.58歳)を対象に、A群(金芽米及び金芽ロウカット玄米を12ヵ月間摂取)、B群(精製白米12ヵ月間摂取)にそれぞれ40名ずつ分けた。食生活全般は変えず、A群の米飯のみを朝食と夕食は金芽米に、昼食は金芽ロウカット玄米に変更し、非盲検下、並行群間比較試験で実施。入所者の日々の排便有無、排便量及び排便回数の記録を行っている。

【結果】
全対象者のうち、期間途中での退所等を除き、A群は32名、B群は31名が解析対象となった。

① 排便日数(※2)
排便日数は、B群の被験者では、摂取前「27.03±2.28」から摂取後「23.48±2.34」(p=0.03)と有意に減少し、A群の被験者においては摂取前「31.09±2.16」から摂取後「31.75±2.04」(p=0.68)と微増した。

② 排便回数(※2)
排便回数は、B群では摂取前「14.65±2.40」から摂取後「14.94±2.67」(p=0.83)に、A群においても摂取前「16.25±2.05」から摂取後「17.09±1.67」(p=0.60)といずれも微増した。

③ 排便量(※2)
排便量は、B群では摂取前「25.81±4.01」から摂取後「27.45±4.67」(p=0.45)、A群においても摂取前「29.66±3.31」から摂取後「32.34±3.17」(p=0.34)と微増した。

(※2)算出方法
①排便日数…「全5種類の便」の量合計≧2/日の場合は排便有、5種便の量合計<1の場合は排便無し各被験者の摂取前・摂取後各71日間の排便有日数合計から平均値を算出
②排便回数…「普通便」の各排便回数合計、各被験者の摂取前・摂取後各71日間合計の平均値を算出
③排便量… 「普通便」の各排便量数値合計、各被験者の摂取前・摂取後各71日間合計の平均値を算出

以上の通り、金芽米及び金芽ロウカット玄米の継続摂取により、便通機能の改善効果が示唆されました。但し、これはあくまでも検証開始71日目での結果であり、今後の試験継続で更なる改善効果が期待されます。引き続き調査を実施して解析をして参ります。

昨今、深刻化している介護関連の人材不足の理由の一つである「仕事がつらい」という介護する側だけでなく、介護される側においても、「食事」「入浴」「排泄」が現場では重要項目で、その中でも「排泄」がスムーズに行えることは最も大切であり、その現場においてコメを変えるだけで介護現場の最大の懸案事項である「排泄の改善」に貢献できる画期的な施策と考えております。

また、本試験では、高齢者を対象とした便通改善を検証していますが、食生活をはじめとしたライフスタイルの変化により、小・中学生の便秘問題も深刻化しているのが現状です。本年4月より、愛知県内の小・中学校の給食に金芽ロウカット玄米が採用されていますが、コメによる便通改善効果の対象を広げ、全国民の健康増進、ひいては医療費削減にも貢献して参る所存です。