コメの肌ヌカを生かした有機質肥料・飼料の安定供給に向け基本協定締結。東都生協と東洋ライス、無洗米販売協力も、循環型農業の実現目指す
東都生活協同組合(東京都世田谷区、理事長:庭野吉也)と、東洋ライス株式会社(銀座本社:東京都中央区、代表取締役:雜賀慶二)は9月1日、「米の精」基本協定を締結いたしました。東洋ライスのBG無洗米機で無洗米加工した際に取り除かれる肌ヌカを生かした有機質肥料・飼料「米の精」を、東都生協が安定供給してもらうのが狙いです。「米の精」の原料となる肌ヌカは、それのみを回収するのは非常に難しいのと、量も通常の精白米1㎏から15g程度しか取れないため、東都生協は東洋ライスが無洗米加工する金芽米、金芽ロウカット玄米の販売に協力し、「米の精」の安定供給につなげます。BG無洗米機は、研ぎ汁のもとになる肌ヌカの粘性を利用し、胚乳の表面を傷めずに肌ヌカだけを除去するもので、①研ぎ汁による水質汚染を防止し、汚水処理場の電力消費(CO2)を削減できる②コメの健康成分の流失と劣化を防ぐ③コメの食味の劣化を防ぐ④環境に有害な研ぎ汁を有効資源として活用する―という、4つすべての要件を唯一達成した無洗米機であります。その副産物である「米の精」を活用することで、地球環境保全と、有機資源を循環させながら農畜産物を生産する循環型農業の実現を目指します。
生活協同組合と株式会社のこのような協定は珍しく、同じ目的を共有する新たな取り組みとなります。東都生協はこれまで、契約産地に「米の精」を供給し、野菜、果物の肥料として活用してきました。最近は畜産物(牛、豚、鶏)の飼料としての活用が始まり、9月から「米の精」飼料を与えた畜産物の消費者(組合員)への販売がスタートします。基本協定はこの時期に合わせて締結しました。「米の精」は土づくりに必要な成分のバランスが良いうえ、微生物のエサとなりやすく、土壌が活性化して豊かになります。東都生協の契約産地は、農薬・化学肥料削減の取り組みに力を入れてきたため微生物が残存しており、「米の精」の土壌活性化効果に対して高い評価が寄せられています。畜産物の飼料としても「食いつきが良い」という評価が寄せられています。
東都生協は2016年度に金芽米、金芽ロウカット玄米、BG無洗米を2,203トン販売、その副産物である「米の精」の供給を782トン受けています。基本協定は東都生協の金芽米、金芽ロウカット玄米販売量、東洋ライスの「米の精」供給量について数値目標は定めず、1年に1回の両者レビューによって翌年の取り組みを決めることにしています。このほか、日本の食料自給率向上につながる取り組みや、産地と消費者の相互理解を深めるための交流活動などを共同で展開していくことを盛り込みました。
東都生協は1973年により安全ですぐれたものを手に入れたいという消費者の願いから設立されました。「産直」「協同」「民主」-いのちとくらしを守るために-の基本理念のもと、消費と生産を結ぶ「産直」(産地直結)を基軸とした事業と活動を進めています。日本農業と食料自給率向上に貢献する産直生鮮品・国産応援商品をはじめ、安全で質の良い生産物を安く安定して供給する共同購入事業を柱として、くらしの要求に応えるさまざまな商品とサービスを組合員に提供しています。2008年からは食の安心を次世代に継承する「食の未来づくり運動」を提起。交流・訪問2万人運動や産直・国産商品の利用普及、商品づくりへの参画など、生産者との交流・協同を通じ、持続可能な社会に向けて組合員が主体的に暮らしに向き合い、食卓から日本の農業を応援する運動を進めています。
一方、東洋ライスは環境に優しい稲作に適した土づくりから精米機器の開発、コメ販売、炊飯事業までを手がける「お米に関する総合メーカー」として活動を続ける中で、かつて米が持っていた生薬としての機能を取り戻したコメを開発すると共に、一層の普及により予防医学の推進を図り、わが国の医療費削減を目指しています。
(ご参考)
東都生協の契約産地が「米の精」を使って育てた商品
【野菜】にんじん、大根、大和いも、さつまいも、無無たまねぎ
【果物】りんご、柿
【精肉】かぞの豚、八千代牛、太陽チキン
【牛乳】八千代牛乳
「米の精」使用産地(順不同)
埼玉産直センター、埼玉西部産直グループ、埼玉県産直協同上里グループ、JAやさと(茨城)、茨城県西産直センター、房総食料センター(千葉)、多古町旬の味産直センター(千葉)、奈良五條産直組合、ファーマン(山梨)、山形南陽のんのん倶楽部、紀ノ川農協(和歌山)、久保産直会(長野)、佐久産直センター(長野)、サン・ファームすざか(長野)、大矢野有機農産物供給センター(熊本)、三浦半島EM研究会(神奈川)、千葉県北部酪農農業協同組合、加須畜産グループ(埼玉・群馬・栃木)、東富士農産株式会社(静岡)