大阪府泉南郡田尻町、東洋ライス株式会社 包括的連携に関する協定を締結
~「住民一人ひとりが健康になれるまちづくり」を協働で推進!~
この度、大阪府泉南郡田尻町(町長:栗山美政、以下「田尻町」)、東洋ライス株式会社(代表取締役:雜賀慶二、以下「東洋ライス」)は、10月23日付で包括的連携に関する協定を締結することとなりました。これまで田尻町では、「たじり8000人の大家族」のビジョンのもと、「健康ポイント事業」「転入・定住促進助成事業」「学校園給食費無償化」などに取り組み、人と人がつながる「住んでみたい」「住んで良かった」と感じていただけるまちづくりを進めてきました。この度、「住民一人ひとりが健康になれるまちづくり」を協働で推進するべく、町内に精米工場がある東洋ライスと包括的連携に関する協定を締結し、東洋ライス独自の精米技術により、美味しさと栄養を両立した「金芽米(きんめまい)(※1)」等を活用した町民の健康増進、食育推進、農業振興などに協働で取り組んでまいります。
本協定による具体的な取り組みとして、
➀町内の小中学校の学校給食で金芽米を提供
令和6年1月の学校給食から、地場産玄米(田尻町産及び泉州産)を東洋ライスリンクウ精米工場にて金芽米に加工し、町立小・中学校の計682名の子どもたち(令和5年10月1日現在)の給食で提供を開始します(年間約6トン使用予定)。大阪府でいち早く給食無償化を実現し、今回新たに給食に健康と美味しさを兼ね備えた金芽米を導入することで学校給食を充実させ、子ども達の健康増進と食育の推進を目指してまいります。
②赤ちゃんから高齢者までの健康づくりに金芽米を導入
田尻町では、コンパクトな町の良さを生かして、保健、医療、介護、食育の各分野が連携し、ライフステージに応じた健康増進や食育推進を個人・家族・地域へと広がるイメージで取り組んでおります。
健康増進として今年度特に注力しているのが、町の健康課題である「高血圧」と「認知症」の予防で、医療機関と連携した無関心層の発掘や、運動プログラム前後の体組成測定、MCI(軽度認知症障害)スクリーニング検査等を取り入れた効果検証を行っているところです。
今後は、より一層高血圧や認知症予防を推進するため、金芽米の健康効果に着目し、主食であるコメを継続摂取する健康プログラムを実施するとともに、血圧の変化や体組成などの客観的データや主観的なアンケート調査等の分析を通じて、運動と食との二本柱で町民の健康づくりへの行動変容につなげてまいります。
また、食育推進につきましては、認定こども園、小・中学校、健康づくりのそれぞれの栄養士が連携して、町で一貫した食育を全ての世代に広める取り組みをしており、まずは小中学校の給食への金芽米導入をきっかけに、今後は他の世代へも金芽米を活用した健康づくりや食育を広めていきたいと考えております。
③「人」も「環境」も持続可能な農業の実現。「米の精(※2)」で泉州黄たまねぎ『吉見早生(※3)』のブランド価値向上
金芽米の加工時に産出されるコメのとぎ汁成分をリサイクルした純国産有機JAS適合資材「米の精」を活用することで持続可能な農業の実現を目指します。初年度は『たじりたまねぎ発祥の地協議会(※4)』が栽培し、町の特産品となっている泉州黄たまねぎ『吉見早生)』の栽培に肥料として活用することで、土壌中の微生物を活性化させ、肥沃な土壌にすることで美味しい玉ねぎの育成に寄与するかの検証を行います。
なお、このたまねぎは来年5月に新ブランド「吉見早生 米の精育ち」として収穫され、5月19日(日)に開催する予定の「泉州黄たまねぎ祭」で試食や販売を行うとともに、町内の学校給食にも金芽米と合わせて提供し、給食を通じた環境教育の材料としても活用する予定です。また、次年度以降は、この取り組みを他の農作物にも広げ、地場農産品のブランド力や付加価値を向上させることで、高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加などの課題の解決を目指してまいります。
今後は、上記項目以外にも取り組みの幅を更に拡大し、①災害初期における一時避難のため及び災害対応車両等の駐車場として施設の一部利用、食糧の提供及び食糧の提供場所として東洋ライスリンクウ工場の活用、②「米の精」を学校の環境教育へ活用等についても検討してまいります。
【包括連携協定における連携事項】
(1)健康増進に関すること
(2)食育に関すること
(3)給食に関すること
(4)子育てに関すること
(5)産業振興に関すること
(6)環境保護に関すること
(7)防災・減災に関すること
(8)田尻町の魅力・情報の発信に関すること
(9)その他の住民サービスの向上及び地域社会の発展に関すること
※1
「金芽米」は、東洋ライス独自の加工技術によって、ビタミンやミネラルなどの滋養源である玄米の栄養を残したまま、美味しく、消化性に優れたコメです。普通の精米方法ではヌカと一緒に取れてしまう、栄養と旨味成分が含まれる「亜糊粉層(あこふんそう)」を表面に残すことで、ほのかな甘みを感じられるのが特徴です。近年では、金芽米等の継続摂取による健康への効果を実証し、論文発表しています。
※2
「米の精」は、金芽米(BG無洗米)加工時に産出される、とぎ汁成分をリサイクルした有機質資材です。環境にやさしいだけでなく、土壌を豊かにすることで美味で酵素活性にも優れる農作物の栽培に役立てられています。
※3
『吉見早生』は、泉州黄玉葱の一種で田尻町吉見地区を中心に明治期より栽培されていた原種で、なにわの伝統野菜の一つに認証されている。球形は扁平で水分を多く含むため日持ちはしませんが、肉質は柔らかく甘みが強い逸品です。昭和63年頃に農協が出荷を停止した品種であり、それ以降栽培されなくなっていましたが、平成18年に農家の床下で20年間保存されていた種が見つかり、復活栽培に成功したことから“まぼろしのたまねぎ”と称されています。
※4
『たじりたまねぎ発祥の地協議会』は、「吉見早生」の復活・普及に向けた取り組みを通じて、田尻町における農業の振興に寄与することを目的として農業委員会や農業関係団体、漁業協同組合などに参画いただき平成31年に設立した任意団体です。現在は、観光協会にも参画していただいています。
【大阪府泉南郡田尻町の概要】
空と海に広がる田尻町は、明治22年に吉見村と嘉祥寺村が合併して田尻村となり、昭和28年5月の町制施行から本年で70周年を迎えます。
面積5.62㎢、人口8,333人(令和5年10月1日現在)の小さな町で、関西国際空港の中央部が田尻町に属しているため、空港島を除く実質的な面積は2.35㎢と日本でいちばんちいさな町ともいえます。
古くから農業・漁業が盛んで、泉州におけるたまねぎ栽培発祥の地とされ、また明治以降は町のあちこちに紡績工場が立地し、著しく発展しました。
1994年に関西国際空港が開港し、臨海部にりんくうタウンが整備され、「8000人の住民全員が、大家族のように繋がっているまち」を政策の柱と位置づけ、町民の皆さまが幸せを実感できるまちづくりに取り組んでいます。